『李家荘の変遷』趙樹理

『李家荘の変遷』趙樹理(小野忍訳、岩波文庫、1958年。原著は1945年)を読みました。
アモイ大学の現代文学史の教科書を読んでいる時に興味が湧いて、日本で買いました。
その時の帰国時にこっちに持ってきたのですが、「積読」になってました。
この本、中国においていくので、今のうちに読んでおこうと。

中国で読む中国の小説はこれで最後だと思います。
中国の内陸部の小都市に7年。いろんな中国社会の矛盾を見たあとで読む中国小説、いろんな思いがこみあげてきます。


この小説は、李家荘という架空の村の1920年代末からの20年間を描いたものです。
設定をそのまま読めば、春秋戦国時代を舞台にした小説といってもわからない、そんな感想を持ちました。
むちゃくちゃな社会です。また春秋戦国時代のほうがましかも。
しかし、この作家さんも共産党にまだ騙されていた時の話しなので、共産党が日本軍をぺしゃんこにしたとか書いてありますし、党の指導者などはやたら物分かりがよく清廉な感じです。

ウィキペディアには
・娘が労働者や農民になりたがらないのを見て「幹部の子弟がいまだに封建時代の誤った階級観念で労働者や農民を下に見ているのは問題だ」と嘆いたりもした。
・後期の「霊泉洞」は、共産党員の指導性に距離を置き、農民・人民大衆の自立への願いを込めたものだった。このように、「本来の共産主義とはいかにあるべきか」というテーマを追求した、実直で真面目な人格は、中国近現代史にあって稀有の存在だった。

なんて書いてあります。きっと中国の農村を本当に良くしたいという気持ちが強い人だったんでしょうね。
文革時に反動派だと迫害され死去。


あと30日で中国を出ます。