注をつけてほしい。

学生にレポートを課して、今チェックをしているところです。
最近は日本の大学もコピペが多いと聞きますが、
中国人学生はもっと多いです。
これは中国社会や中国の教育にもとから問題があるんですよね。
私も、アモイ大学の通信教育のレポートはコピペで済ませることが多いです(もちろん、自分で加工しますが…)。
なぜコピペが多いのかもわかりますし、学生の気持ちはよくわかります。

教育の要因としては、
「大学は知識を“習う”ところ」というイメージがあり、自分で考えて書くレポートにたいして真剣に向き合うことがすくないことが考えられます。
また、私の勤務校などでは、卒論を書くまでにレポートはほとんど書きません。レポート(3000字を2本ぐらい)を書かせる先生は、マルクス関係の先生だそうです。でも、もちろん、この授業で自分の意見など書けませんし、学生も興味がまったくないようです。自然とコピペになるわけです。
他にもいろいろ要因はあるとおもいますが、


教科書のコピペ体質というのが、あるかもしれません。
(まえつかった「日本概況」の教科書は、ほとんどが日本語版ウィキペディアのコピペでした 苦笑)


また、出典を明記しない教科書がおおすぎるように思います。


例えば、アモイ大学通信でもらった教科書、
刘葈《汉语作为第二语言教学简论》(北京语言大学出版社,2002年,20页)

第二,对比分析只研究第一语言(母语)对目的语学习的迁移作用,而语言学习者所遇到的困难和所犯的错误并不只是来自第一语言的干扰。调查研究表明,第一语言干扰所造成的错误占学习者全部错误的33%,而且主要集中在学习者因缺乏目的语的有关知识而较多地依赖其母语的初级阶段。

「調査によれば〜33%」とデータを挙げるのであれば、普通は注をつけないといけないですが、この教科書には注がありません。ちなみに、この教科書は「簡論」とあって、概説書なのですが、概説書なら巻末に参考文献リストをあげて、意欲ある学生に本を推薦するべきなんですが、それもありません。発展性のない本です。


吴庆麟主编《教育心理学:献给教师的书》(上海:华东师范大学出版社,2003年,302页)

在激发学生动机的过程中,最理想的做法是激发学生的内部动机,这是因为,多数研究表明:内部动机高的学生比外部动机高的学生往往能取得较好的学习成绩。

これも学習における内部動機の大切さを書いている文章ですが、「多数の研究によると〜」ってあって、その注がないんです(参考文献は章末にたくさんあげられていますし、ちゃんと注がついているページもこの本は割と多く、読み始めは好印象でした)。


たまたますぐ探せたものだけを書き出しましたが、
論文などでも、「最新の心理学の研究結果によると…」とかあちこちで目にします。
大学レベルの教科書や論文にこういうのが多いので、レポートの書き方を自然に学ぶことが難しいのでしょうね…。


科学研究に「賞」多すぎ、“ごみ論文の栄養源”に=中国
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0416&f=national_0416_163.shtml
(サーチナ2012年4月16日)


中国人科学者の論文、数は世界一だが被引用率は100位以下―中国紙
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0210&f=national_0210_228.shtml
(サーチナ 2011/02/10)

Top 20 Countries: Citations in Five-Year Increments
Special Country Feature, January 2012
http://sciencewatch.com/dr/cou/2012/12janALLgraphs/
この記事だと中国の引用数は7位