テレビはあるのか?冷蔵庫は?

学生たちが、夏休みに日本に研修にいってきました。
ある施設で、生活費を無料にしてもらうかわりに、そこで働く、というものです。


学生たちが、そこの職員から質問されて、「差別だ!」と怒っていたのは、
「テレビはあるのか?」
「中国にはスイカがあるのか?」
でした。
スイカのほうは、単に好奇心で聞いた気がします。
テレビのほうはどうでしょうか・・・。確かに「中国は貧乏」というイメージがまだ抜けない日本人も多いので、そういう質問をしてしまうのでしょう。
ただ、「差別」かどうかはちょっと難しいです。
そもそも、日本人で「テレビの有無」「裕福かどうか」で人を差別する人は、中国での貧富の差別より少ないです。その質問をした日本人に悪意があったのかどうかは、その場にいなかったのでニュアンスがわかりませんので、差別意識がなかったとはいいきれませんが・・・。


中国人では、ブランドがはっきりわかるネクタイが人気と前にどこかで読んだことがあります。ネクタイはそれほど高くない代わりに、スーツにくらべてブランドが相手にわかりやすいからだとか。日本人だとブランドのロゴなどがデカデカと書かれているとちょっと恥ずかしいという人も多いでしょう(もちろん、ブランドを見せびらかすひとがいるのは否定しません)。中国人が相手にわかるようにブランド物を身につける理由は、店などに入っても対応が違うからです(これは別に中国だけじゃなくて東南アジアでもそうです)。だから、「裕福かどうか」の視線には、日本より敏感に反応してしまうんでしょう。



それから、開き直っていいます(笑)。
過去の日記にも貧困層基準改定で3000万→1億人というニュース記事を取り上げたものがあります。年間一人あたり1500元(約1万9500円)以下で暮らしている人が1億人いるんです。GDP世界第2にといっても、それは国のGDPで、一人あたりのGDPであれば、90〜100位のあたりです。ましてや学生の多くは内陸部の出身です。上海にくらべれば一人あたりのGDPは3分の1、2万数千元です。日本のテレビの価格を考えると(中国では中古があちこちで売られてますから新品を買わなければ安いです。新品でも有名じゃないメーカーなら日本より安いです)、「テレビがあるのかどうか」質問したくなってもしかたないんじゃないでしょうか。


中国、ラジオ・テレビ普及率、96%(チャイナネット)という記事を見つけました。テレビ単体の普及はどのくらいなんでしょうね。
あと、「無線の届かない20世帯以上ある村に対して衛星による普及を推進する」とありますから、そもそも電波届いてないところもあるんですね。
それから、最近はデジタル化がすすんでまして、チューナーがないとテレビがあってもほとんどみられません。「地デジ難民」、結構いるんじゃないでしょうか。あと、学生などは、ネットでテレビ番組をみてます。怒ってる彼らの寮には実際にテレビはありません(笑)



日本に留学していた知り合いは、居酒屋でバイトをしていたのですが、「冷蔵庫があるか」と聞かれるのに腹がたったとか。


ところで、日本人で「日本の家庭にはパソコンがありますか?」と聞かれて、怒る人ってどのぐらいいるんでしょうかね?
「変な質問するな〜」「ケータイでネットするから持ってない人も多いかもね」って思うぐらいじゃないでしょうか。
「パソコンぐらいあります!」って怒る人は、収入面でなにかコンプレックスを抱えてる人?


ちなみに、中国 携帯電話の普及率は100人あたり64.4台(2011年)です。


大和総研の2009年の記事
http://www.dir.co.jp/souken/consulting/researcher/insite/090701.html

家電下郷の対象製品の中では、冷蔵庫と洗濯機、テレビが特に売れているようだ。世帯普及率は冷蔵庫・洗濯機とも中国の都市部では100%近いのに対して、農村部ではそれぞれ26%、46%にとどまっている。テレビは農村部でも世帯普及率は90%を超えているものの、CRTテレビから液晶テレビへの買い替えが農村部でも始まりつつあるものと考えられる。

「家電下郷とは、農村部の家電普及率上昇を促進するために、指定された機種について13%の補助金を出すという政策」


最後に、可能性はやや低いものの、日本語が聞き取れずに怒ってる可能性も一応してきしておきます。