家族愛、祖国愛、人類愛

『教育の社会史』辻本雅史編著、放送大学教育委振興会、2008年、215ページ
にこんなことが書かれている(ハワイの日本人移民の教育について地理学者志賀重昂(しげたか)1863-1927年が述べたこと )。


「日本人は自己を愛するを知り、自己の父母に孝なるべきを知り、自己の君主に忠なるべきを知れり。然れども人類の一員として自己の関係以外の者を愛し、自己関係以外のものに孝し、自己関係以外の者に忠なるを弁えず」


たしかに西欧の人間は、それが自分の価値観の押しつけに見えるときもあるけど、普通ならひとが行きたがらないところにボランティア活動にいったり、献身的にはたらくということがみられます。


そもそも家族愛なんていうのは強調しなくてもそこそこあるもの。
困っている友達と困っている見知らぬ人を同時にみかけたら、
普通は友達のほうを助けるものだと思います。
あえて身内を強調しなくても普通は大切にするわけです。
むしろ、社会の幸福のためには「見知らぬ人をこそ助けよ」というようなことを訴えていくべきなんでしょうね。
そういった意味で、この志賀の指摘する部分は中国にも当てはまります。
そして「法の支配」が確立していない中国では、日本より社会が腐敗しやすいように思います。