『日本は中国でどう教えられているのか』

日本は中国でどう教えられているのか (平凡社新書)

日本は中国でどう教えられているのか (平凡社新書)

『日本は中国でどう教えられているのか』(西村克仁、平凡社新書、2007年)をよみました。これは高校の日本史の先生が中国の学校の授業を見学してまとめた本です。
中国の歴史教育がどのようになっているのか、それだけでなく、中国の教育方法もしることができます。

「見学当初、近現代史ならともかく、古代史は日本で教えている内容とさほど変わらないだろうと思っていた。たしかに多くの部分では同じなのだが、日本に比べて歴史認識に重点が置かれているように感じた」(46ページ)と筆者は書き、例もあげています。
たとえば、
「わが国の多民族国家としての歴史を考える上で、明・清による国家統一をどのように理解すべきか?」という質問を先生はするわけですが、それに対しては
「明・清時期には、外国の侵略者を打ち破り、国家の領土主権を守った…。」などと答えるわけです。こういう形式の試験が大学受験でも出題されるそうです。

うちの4年生、先学期は結構大学院受験の準備をしていました。
日本語学科でも英語と政治は必須です。
で、政治の問題集をみせてもらったんですが、
「〜事件について正しいものを選べ」とかの選択肢に普通に「偉大な〜」とか価値評価を表す語が含まれてます。ある歴史的事件の評価って人によって違うものですし、定説がさだまっていないものもあるのに、こうやって「正しい歴史観」を植えつけていくんでしょうね。


今、アモイ大学の教育学の教科書を読んでいますが、そこに「徳育」という項目があります。この徳育には「正しい政治観点」も含まれています。


こういった教育をうけてアモイ大学の先生たちも育ってきているわけですから、当然日本人からみれば変だなっていう部分もでてくるわけです。