『この謎の巨人、中国』金雄白著、伊達政之訳、蒼洋社、1978年

『この謎の巨人、中国』(金雄白著、伊達政之訳、蒼洋社、1978年)を読みました。
樋泉先生がコラムで前にとりあげていたので興味をもって読んだんですけど、
私にとってはつまらない本でした。
日本人の中国に対する無知ばかりいうが、
じゃ、中国人は日本を理解しようとしているのか?祖国中国を理解しているのか?現実を見つめず「唐の時代はすごかった」〜とか古代ばっかに現実逃避してるんじゃねえよ!
って最近強く思うからです。
中国を礼賛する人たちに苦言を呈しているんですが、
そういうのは中国政府が外国人に対していい部分しかみせかなったり、
豪華な接待をしたり、場合によっては批判的な言動に対する制裁をくわえてるからですよね。
そうやってやってる側出身のひとが何をかいわんやですよ。
そしてまた、

漢民族は…当然すぐれた特性をもっている。平和的であり、謙遜の美風があり、音順で、知的で、勤労姓があり、忠義を重んじる民族である(23ページ)

とこうやって書いてあります。他のページでも繰り返し繰り返しでてきます。
まずは自己認識をしっかりしてからにしてほしいと思います。
「謙遜の美風」って自分でいってるような民族がまともだとはおもえません。
そして、中国美化の片棒をあなたも担いでるじゃないですか。
「中共はだめだけど、漢民族はすごい」思想の持ち主じゃないですか。

54の少数民族の経済・文化は、極めて遅れた地位にある(32ページ)

経済はともかく、「文化」にたいして「遅れた」とかいってしまうのは、70年代という時代を考えてもいかがなものかと。
漢民族のごみすてたり、痰をそこらじゅうにはくのが「進んだ文化」なんですかね?
「進んだ」とか「遅れた」とかそういう言葉でしかものをかんがえられないんでしょうか。


一衣帯水の隣国だからっていいますけど、
日本は海で世界の多くの国とつながっています。アメリカだって太平洋を挟んで隣国です。
日本人の多くが、たとえば、かなり近いフィリピンを隣国だとおもってますかね?
中国ばかり「隣国」だからという理由で優遇するのはおかしいと思います。